最果ての四国へ

2016年度の松野町の最後の仕事となった「最果ての四国へ」パンフレット。かつて、移住先を探してぼくは奥さんと2人で、西日本をぐるぐると車中泊で旅してまわりました。四国に入って愛媛県の海岸線を南下していた時、松山から先へ車を進めるほどに「ああ、ずいぶん遠くまで来てしまったなぁ」と非常に感慨深く思ったものです。四国という地は、四国に暮らす人が思うよりずっと、東京など首都圏の人々にとっては遠い最果ての地なのではないか? 東京で日夜働くサラリーマンの人たちは、くたくたに疲れて乗る帰りの電車の中で「あ~どっか遠くへ行きたいなあ…」などと現実逃避的な想いに駆られます。南予に暮らすようになってときどきこういう言葉を耳にしました。「(南予は)思ったより近かったでしょ?」東京などから南予を訪れた人に対してこう言うのです。そういったいくつかの要素を考えた時、ぼくはこう思いました。むしろ、四国を訪れてもらうためにはこう言った方がいいのではないか?「最果ての四国へようこそ」と。東京から愛媛の里山に移住したぼくにとって、田舎のストレスの無さは、都会で暮らしていた頃では考えられないレベルです。日常的に四六時中ストレスの負荷を受けて暮らしている都会の人には「最果ての地」というフレーズはとても魅力的に感じられることが多いのではないか? 少し前まで椎名誠さんや野田知祐さんの旅行記がベストセラーとして読まれていたのは、都会時にの現実逃避に持ってこいだからだと思うのです。この「最果ての四国へ」は、そんな想いから考えたコンセプトブックでした。冊子は全40ページのB5判。他にA4サイズのクリアフォルダと、それらをセットにして入れるビニール袋もデザイン。本当はこのキャッチコピーで、東京の地下鉄の車内広告などに展開できれば…などと思う案件でした。

最果ての四国へ

CLIENT
愛媛県松野町

SERVICES
デザイン

YEAR
2017