短期集中連載「わが家の移住のプロセス」第5回!〈準備編〉その2「下見&引っ越し」です。移住でなにより大事な「現地の下見」。そして「地方への引っ越し」。今回はそのあたりのお話しです。
車中泊の旅から実際に移住するまでの1年間、ぼくらは具体的にどんな準備をしていたのか。 前回は「仕事」について書いてみましたが、今回は「下見」と「引っ越し」です。
松野町へ下見に通う!
まずは「下見」について。
1年間の準備期間中に、ぼくらは「下見」として、2回愛媛まで通いました。
最初の車中泊時の訪問を入れたら、移住前に3回松野町を訪れています。
1回目は他の物件を見ることが目的。
車中泊の旅で最初に訪れた際、すでに1軒、空家を紹介してもらっていましたが、他にも物件があるかどうか、東京に戻ってからも役場の担当者の方に問い合わせをしていたのです。
ちなみに2回目は、引っ越しの時期や家賃、その他具体的なもろもろをすり合わせるための訪問でした。最初の家の大家さんと再度面会させていただき、もう一度家の中を見せて貰ったりしました。
理想の家
実は、奥さんには理想のイメージがありました。
それは「隣に家がない家」。
あくまで理想ですが、他の家と隣接していない戸建てで、窓を開けると目の前に里山の風景が広がっているような家…そういう家に住んでみたい。
ところが、最初の家はいくつかの家が寄り集まった一角の家でしたので、すぐ隣に家が建っていました(そこも空家でしたが)。
なので、他に物件があるなら検討してみたかったのです。
ただ結局、他に紹介していただいた物件も、奥さんの理想にはまるものではなく、ぼくらは最初に紹介してもらった家に移住します。
でもそれが結果的には「吉」でした。
(その詳細は第7回で)
移住に必要なもの⑤「現地の下見」
移住先候補地が見つかったら、まず下見!です。
下見をしないで移住をする人も、あまりいないと思いますが、移住に下見はマスト!です。もし可能なら、何度か現地を訪れるのも、あとあとの安心に繋がります。何度か通ううちに見えてくるものもあると思いますし、移住前に親しくなる方と出会えたりもするかも!
また、事前に現地の役場を訪れて、移住相談しておくのがおススメです。自治体によって受け入れ態勢はさまざまだと思いますが、空家を紹介してもらえたり、助成金に関する情報を教えて貰えたりすると思います。
地域によっては、お試し移住の制度などもあります。ちなみに松野町にもリフォーム補助金などがあります。
★愛媛県移住者住宅支援情報(移住者対象、空家回収費用補助制度)
他にも各地域ごとに、いろいろあると思いますので、探してみてください。
また、最近は出産・育児に関する補助金も、各自治体によっていろいろあります。
松野町でも、結婚祝い金、出産祝い金、児童手当、中学卒業まで子ども医療費無料など、さまざまな支援があります。松野町は、結婚・出産・育児にうれしい&優しい助成制度が豊富!です。実際、うちもかなり助かっています。
★松野町子育て応援パンフレットPDF(補助金、お祝い金、保育園情報など)
移住先が見つかったら、役場を訪れ、そういった情報をあらかじめGETしておくことで、比較検討しやすくなり、移住後の安心感も違ってきます。リサーチ不足で「えーっ!?こんなはずじゃなかったのに!」と後悔しないために、事前の現地下見&リサーチはマスト!です。
また、移住前に空家も探せれば、ご近所の方の雰囲気も掴みやすくなるかもです。
ぼくらは、「移住先のコミュニティに溶け込めるかどうか?」に不安を感じていたので、何度か松野町に通い、大家さんや、役場の方と事前にコミュニケーションを取れたことで、かなり安心感を得ることが出来ました。
また逆に、地域によってはそういった事前の下見によって、「ちょっと、雰囲気合わないかも…」ということもあるはず。移住してからそう思ったら「手遅れ」ですよね。その辺が移住前にクリアになっていれば、移住に失敗する確率はかなり低くなると思います。
(余談)下見のお楽しみは本場の讃岐うどん!
以下、余談。
下見をしていた当時はまだ、ジェットスターの松山便はなく、また逆に高速道路が1,000円または半額でした(民主政権当時)。
なので、2回の下見もすべて車で往復(もちろん車中泊)。
ちなみに東京~愛媛間を往復すると約2,000kmです。
で、そのせっかくの機会。
ぼくらが下見だけで済ませるはずもなく、その都度、通りみちにある香川県丸亀で、本場の讃岐うどんを満喫!していました。
東京と松野町を往復するたびに何軒か、有名店から穴場店まで十数軒、製麺所巡りを楽しみました。
いや~讃岐うどん最高!
美味しいお店はほんとうにレベルが高い!です。
正直、最初は「これぐらいなら東京でも食べれるかも…」などと思った瞬間もありましたが、いやいやそんなことありません!でした。
何軒もまわっているうちに、だんだん良いお店をかぎわける鼻もきいて、より美味しいお店へ。
わが家の一番のお気に入りは「すざき」です。いやもう絶品。
まさにここでしか食べられないうどんです。
まだ「行ってみたいけれど行けていない」お店もある本場の讃岐うどん。
またそのうち別記事で書いてみたいです。
こういった寄り道も、移住先探しの楽しみのひとつですね!
最初の家に引っ越すことに決める
移住の準備期間中、松野町に移住することは、ぼくらの中では決定でした。
が、1点問題がありました。それは、家。
前述のとおり、最初に紹介してもらった家は「理想」と違うものでした。
なので、ぼくが派遣で働いたり、その他もろもろの準備期間中「もっと良い物件」が出てくるのを待ちました。
が、結局出てきませんでした。
そのような状態のまま、半年が経過。やがて派遣仕事の期間も満了。
さてどうするか?
このままずるずる時間が経つと、移住すら危うくなってしまいそうです。
奥さん的には、最初の空家が理想と違うものの、これ以上、東京から松野町の空家を探すにも無理がありそうです(当時松野町は、空家バンクなども未整備でしたので、遠距離から空家を探す方法が役場に頼る以外なかったのです)。知り合いもいない松野町で、他に物件を探すには、自分たちが町内にいないと難しいように思いました。
だから、とりあえずあの家に引っ越そう!とにかく先に進もう!
まず引っ越しをして、松野町内に暮らしていれば、そのうち理想の家も見つかるかもしれません。
2012年の初め頃、ぼくらはようやく、それを決めました。
少し消極的に見えますが、でも結果的には、わが家にとっては松野町で大正解!でした。
どう正解だったかは、このブログやFacebookを読んでもらえたらわかるとおりです。
引っ越し業者とは、絶対に値段交渉するべき!
そんな風に、とにかく松野町の家に引っ越すことが決定。いよいよ引っ越しです。
そこで立ちはだかるもうひとつの難関、「地方への引っ越し」です。
これについての経験値は、人それぞれだと思います。わが家の場合は経験値ゼロ。東京都内での引っ越し経験しかなかったので(それも業者を雇わない自力の引っ越しがほとんど)、地方への遠距離引っ越し自体、この時が初めてでした。
この地方への引っ越し、肝になるのは、引っ越し業者の選定です。
荷造りや掃除など、引っ越し作業そのものも大変といえば大変ですが、これはもうやるしかない!のでここでは割愛。ぼくらが力を入れたのは引っ越し業者の選定です。なるべく「安く」、でも「信用」できる業者を探し出し、交渉し、見極め、決定する、そういう作業でした。
重要なのは、引っ越し業者とは必ず値段交渉すること!これにつきます。
業者が最初に出してきた見積もりは、おそらくほとんどの場合、交渉すれば安くなります。
交渉をする方法の基本は、相見積もりをとること。候補の業者を見つけたら、違う業者で相見積もりをとり、相場を把握。「交渉すれば安くなる」ことを前提に、候補の業者と値段交渉をします(もちそん相見積もりの金額を正直に相手に伝える必要はありません)。あとは各自の腕次第!
ちなみにわが家は、アリさんマークの引越社にしました。
以前、勤めていた会社が引っ越しをしたときに、このアリさんを利用していて、そのときの仕事っぷりがすごく良かったのを憶えていたのです。
実は、アリさんに見積もりに来てもらった時点で(引っ越しの見積もりは実際に家の中を見に来ます)、他の業者に内定してしまっていたのですが、その業者のネットの評判がやや不安で、アリさんにぶっちゃけ相談&交渉したところ、「じゃあうちが同じ価格で請け負いましょう」ということに。結果、アリさんから出てた最初の見積もりのほぼ半額に(笑)。という流れで、アリさんに決定したのでした。
引っ越しの際の手際や、速さ、丁寧さは、見ていて感心するレベルで、実際アリさんにして正解だったなぁ、と思います。
手続きもろもろ
その他、「移住前にやっておくべき」役場などでの手続きもろもろがあると思います。
わが家はどうだったか…、というと、住民票の移動ぐらい?だったでしょうか。
住民票を移動すれば、保健証なども自動的に移行するので、役場での手続きは住民票の移動だけかも。
銀行の口座は、新しく愛媛の地方銀行にも口座を作りました。
その他、車のナンバープレートを移住先のものに変更する、というのもあります。
ただこれはすぐにしなくても当面は問題なかったりするので、移住後で大丈夫です。
あとは、移住先のインターネットの設置や、TV、ガスや水道、電気など、通常の引っ越しでも発生するようなもろもろの手続きが、必要に応じてあると思います。
わが家は、松野町役場にもいろいろとお世話になりました。
空家を紹介してもらった他、全戸に設置される防災&町内放送システムの機器があるのですが、それを引っ越し当日にはすでに設置してもらっていたり、ガス屋さんの紹介、インターネット&ケーブルTV設置(宇和島ケーブルテレビ)の手配なども、現地に到着したらすでに完了していた、という状態でした。
さらば東京
という感じで、1年間という時間はそれほど長くもなく過ぎていき、ばたばたと引っ越し当日を迎えました。長かった東京生活に、ようやく別れを告げる瞬間です。
ぼくら夫婦が、最後に暮らしていた東京は練馬です。
家の目の前を流れる川沿いの桜並木がすごくて、季節になると毎年ものすごい桜をみることが出来ました。
ふしぎなことに、有名な中目黒の桜よりもすごい規模なのに、まったく都内でも知られておらず、花見客もほとんどが近所の人。これはなかなかお得でした。
そして、2011年7月1日夜、ぼくらはついに東京をあとにしました。
ただ、引っ越しの移動も車だったので、現地到着は翌々日の7月3日の朝(高速SAと道の駅で車中泊)。いま考えると、いちいち大変でした。
というわけで次回!
いよいよ松野町での移住生活がスタート!でも最初の2か月は、空家の改修!?
次回 〈リフォーム編〉!お楽しみに~
つづく
◎ わが家の移住〈地方移住そのプロセス〉第1回 世界一周の旅
◎ わが家の移住〈地方移住そのプロセス〉第2回 車中泊の旅(前編)
◎ わが家の移住〈地方移住そのプロセス〉第3回 車中泊の旅(後編)
◎ わが家の移住〈地方移住そのプロセス〉第4回 移住の準備(仕事編)
◎ わが家の移住〈地方移住そのプロセス〉第6回 空家リフォーム(自力編)
◎ わが家の移住〈地方移住そのプロセス〉最終回 移住後の暮らし